お酒による病気 アルコール依存症

飲酒が習慣化することで、飲酒のコントロールが難しくなる場合があります。
アルコール依存症について、基本的な考え方と特徴を紹介します。

アルコール依存症とは

長期間にわたって大量の飲酒を続けていると、しだいにお酒を飲まずにはいられない状態になることがあります。
このように、飲酒を自分の意思でコントロールできなくなった状態をアルコール依存症といいます。

依存症が進行すると現れる症状

今夜だけはお酒を飲むまいと思っても、夕方になるとつい飲んでしまう。
適量でやめようと思っても、いつも限度を超してしまう。
さらに、お酒が切れてくると、イライラ、手の震え、寝汗、不眠、などの症状が現れ、進行すると幻覚が出ることもあります。
このような状態が続くと、家庭内で感情的になったり、仕事でミスが増えたりするなど、日常生活や人間関係に支障をきたすようになります。

アルコール依存症の治療は医療機関へ

アルコール依存症と診断される場合は、断酒を継続することが最も安全ですが、初期または軽症のアルコール依存症の場合は飲酒量を減らす減酒も目標になり得ます。
依存症が進行した状態では、継続的な断酒が必要とされますが、本人の意思だけでお酒をやめ続けることは非常に困難です。
そのため、医療機関での治療や専門的な支援に加え、家族や周囲の人の理解と協力、断酒を続けやすい環境づくりが重要になります。

依存症とうつ病を併発する人が増えている

アルコール依存症とうつ病は高い頻度で合併することがわかっています。米国での調査では、アルコール依存症の約28%がうつ病を合併しており、アルコール依存症でない人の3.9倍多いとされています。
うつ病の抑うつ気分や不眠を解消するための飲酒からアルコール依存症になるケース、アルコール依存症による大量飲酒が抑うつ気分を強めているケースなどさまざまですが、
いずれの場合も、まず断酒することが治療の第一歩となります。

ICD-10の基準における日本の生涯のアルコール依存症者が疑われる者の推計(令和6年)

表1 アルコール依存症が疑われる者の推計結果

生涯においてICD-10の診断に基づくアルコール依存症が疑われる者の推計
男性女性全体人数
割合
(95%信頼区間)
1.2%
(0.7-1.6%)
0.2%
(0.0-0.4%)
0.6%
(0.4-0.9%)
25名
/4298名
推計人数
(95%信頼区間)
56.0万人
(32.0-80.1万人)
8.4万人
(0-18.5万人)
64.4万人
(38.3-90.5万人)
-
参考:前回調査(2018年度)生涯においてICD-10の診断に基づくアルコール依存症が疑われる者の推計
男性女性全体人数
割合
(95%信頼区間)
0.8%
(0.5-1.2%)
0.2%
(0.0-0.4%)
0.5%
(0.3-0.7%)
-
推計人数
(95%信頼区間)
41万人
(23-59万人)
13万人
(2-23万人)
54万人※
(33-75万人)
-
  • 出典:独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター令和6年度依存症に関する調査研究事業 (document112.pdf

女性とアルコール依存症

女性の社会進出に伴い、女性がお酒を飲む機会も増えています。
男女が一緒にお酒を楽しむこと自体は自然なことですが、女性は男性に比べてアルコールの影響を受けやすいという特徴があります。
同じ量のお酒を飲み続けた場合、女性は男性の約半分の期間で、肝障害やアルコール依存症を発症しやすいといわれています。

その理由として、

  • 一般的に男性より体重が軽い
  • 肝臓が小さく、アルコール処理能力が低い
  • 体に占める水分量の割合が少なく、血中アルコール濃度が上がりやすい

といった点が挙げられます。

依存症を防ぐために大切なこと

女性は、男性に比べて短期間で肝障害やアルコール依存症になりやすいことを自覚し、自分の体質を理解したうえで、適量を守ることが大切です。

POINT

  • アルコール依存症は、長期間にわたる大量飲酒によって、飲酒を自分でコントロールできなくなる病気
  • アルコール依存症の治療には断酒を継続することが最も安全だが、初期または軽症のアルコール依存症の場合は減酒も目標になり得る
  • 女性は、男性よりも短期間で肝障害やアルコール依存症になりやすいため、特に適量を意識することが大切

記事監修:独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

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