ホップの育種・開発へのこだわり
ホップ研究の歴史は、1871年に開拓使の技術者トーマス・アンチセルが北海道で野生ホップを発見したことに始まります。1876年の開拓使麦酒醸造所の創業とともに本格的なホップ栽培が始まり、試行錯誤を重ねながら国産ホップ生産の可能性を追求してきました。1881年には、使用するホップすべてを道内産で賄う自給化に成功し、国産ホップの基盤が整いました。こうした創業期から続く原料への取り組みが、現在のサッポロビールの味わいを支えています。
国産ホップとともに積み重ねてきた育種・研究の歴史
創業時からホップの「育種」に取り組み続けていますが、代表的な成果のひとつが、1910年に誕生した「信州早生」です。この品種は誕生から100年以上経つ現在も作付けされており、日本のビール文化を支え続ける優良品種として知られています。ホップは病気に弱く栽培が難しい作物ですが、長年培った研究ノウハウは生産者への栽培指導にも活かされ、品質向上と安定した調達につながっています。
この育種技術は日本国内だけでなく、世界のホップ産業にも貢献しています。1970年代以降、ウイルス被害によって品質が低下していたチェコのザーツホップに対し、サッポロビールの組織培養技術が大きな役割を果たしました。1989年にウイルスフリーの苗を作り出し、その結果、ザーツホップは従来の品質を取り戻すことに成功しました。これは、サッポロビールのホップ研究が世界的にも認められた事例のひとつです。
香りと品質を広げてきた多様な国産ホップ
ホップの育種には通常10年以上かかると言われていますが、サッポロビールは数々の魅力ある品種を生み出してきました。代表例が、わずか7年で育成に成功した「フラノスペシャル」です。この品種は苦味含量が多く香味も優れ、北海道限定「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」の特徴的な香りをつくる重要な原料として使っています。
100年以上の栽培が続く「信州早生」、レモングラスやヒノキを思わせる香りでアメリカでも栽培される「ソラチエース」、栽培しやすく香味に優れたアロマ品種「リトルスター」、そして2021年に登録されたトロピカルな香りをもつ新品種「フラノマジカル」など、多彩なホップ品種を開発してきました。これらが、ビールの香りと味わいの多様性を支えています。
未来のビールづくりにつながる研究と挑戦
ホップはビールの香り・苦味・味わいの核となる原料であり、その品質や個性はビールの仕上がりを大きく左右します。これまで培ってきた育種・培養技術を土台に、新たな香りや特徴、さらには気象変動対応特性を持つホップの開発に挑戦し続けます。国産ホップの価値を高め、ビールの可能性をひらくため、ホップ研究は今後も進化していきます。