サッポロだからできる!生産者と外食企業をつなぐ地域創生事業

サッポロビールでは、全国各地の地方自治体から公募事業を受託し、農林水産物の販路拡充をサポートする「地域創生事業」を展開しています。
1次産業の生産者が誇りを持って次世代に事業をつなぐためにサッポロビールができることとは何か?事業の発案者であり、現在、責任者を務める平野武樹さんにお話を伺いました。
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私たち法人・地域創生統括部では、地方自治体と連携して地域が抱える課題解決のお手伝いをしています。農林水産物の販路を拡大するための「生産者へのコンサルティング」「営業サポート」「育成研修」が主な業務です

地域創生事業では「入口から出口まで、相談するならサッポロビール」をコンセプトに掲げています。活用するのは、サッポロビールが外食企業への営業とコンサルティングで培ってきたリソースです。

生産者の最大の課題は戦略です。おいしい果物や野菜を栽培しても、「どうやって売ればいいんだろう」と悩んでいる生産者はたくさんいます。「何を作り」「どこに売るか」という戦略から相談させていただき、出口である売り先もサッポロビールが見つけてくる。そんな相談先になれるよう日々、取り組んでいます。

大切にしているのは、生産者の方々が営業的な思考や手法を養う機会を設けることです。自治体の事業は基本1年。その間に戦略の考え方や営業的思考の研修を必ず実施しています。最大の目標は、生産者の皆さんが自走すること。単なる「客付け」では終わらせないのが地域創生事業の目指すところです。

私にとっての成功体験に福島県の「農林水産物マッチング事業」があります。2022年度から2025年度まで4期連続で継続受託している案件です。


マッチングの基本は商談の創出ですが、2022年度のプロポーザルを行った時期はコロナ禍の最中でしたから、販路拡大のための商談会を東京のリアル会場で実施できるかは微妙な時期でした。


そこで、「これからは、東京にわざわざ行ってリアルな商談会をする時代ではありません。産地から日本各地や世界とつながれるのだから、オンラインの方が圧倒的に効率的です。産地の地理的な不利をオンライン商談会で解決しましょう」と提案しました。


その提案が通って案件が受託でき、参加する生産者を募ったのですが、事業規模はさまざま。家族経営の小規模な生産者もいて、リモート会議のできるパソコン環境をお持ちでない生産者も多くいたのです。


そこでパソコン教室の先生さながらに、Microsoft TeamsやZoomのダウンロード、使い方をレクチャーするところから始めました。インストールが完了すると、オンライン商談会で行うバイヤーに対するプレゼンテーションの練習です。


当初、生産者からは「面倒くさい」「できない」「やる意味がない」といったネガティブな意見も聞かれました。でも、生産現場からオンラインで各地と商談できるようになれば、きっとメリットがあるはずだと本気で説明し続けました。コロナ禍が一向に収まらないことも手伝って、「ちょっとチャレンジしてみようかな」と徐々に本気になっていただけたのです。

福島は食材の宝庫です。いわき地方浜通り地域の海産物、中通り地域からは桃などのフルーツ、会津地域から地鶏など、30の生産者が参加しました。一方、バイヤー側は、サッポロビールと取引がある外食企業60社です。


商談会にはバイヤー側企業を担当する当社の営業担当者も同席し、外食企業と生産者の橋渡しをしたことにより商材の魅力を正確に伝えることができ、双方のニーズを理解しながら商談を進めることができました。2日間で行った商談は220件です。


外食企業と生産者双方と面識がある我々が介在することで、商談でのコミュニケーション量が増え、結果として、前年度までのリアル商談会をはるかに上回る成約率を達成しました。


生産者の方々からは「最初は面倒でやりたくなかったけれど、実際にやってみてよかった、本当にありがとう」と言っていただきました。「県の事業は今後もサッポロビールに受託してほしい」という声が自治体に直接寄せられたと聞いています。そういった感謝の声が何よりのやりがい、励みですね。


商談会が終わった後も、都内の外食企業と福島県食材のフェアなどを開催して、さらなる需要を拡大する取り組みも継続的に行っています。また、魅力的な生産者を個別に回る取り組みもしています。外食企業だけでなく、量販店などとのマッチングも提案し、販売ルートを増やすなど個別の生産者の要望にも応えるようにしていきました。

福島県の案件は、地域創生事業での最大の成功体験となり、その後、このモデルをパッケージとして他の自治体連携に展開していきました。


地域創生事業は、2024年は15自治体18案件、2025年には25自治体30案件を受託し、順調に事業規模を拡大しています。また、生産者や自治体の満足度も80%台後半から90%台を維持していますから、皆さんに喜んでもらっていると思います。

「メイプルサーモン」の養殖を手がける株式会社 林養魚場 養魚部(福島県西白河郡)では、マッチング商談会により、ラーメンブランドとの取引を開始しました。

フィレはもちろんのこと、従来は廃棄もしくは肥料に回していた骨や頭をダシ用として販売供給することも実現。東京・神楽坂のラーメン店「サーモンnoodle3.0」で使用されています。

今回、林養魚場のご担当者、石田さんからありがたいお言葉を頂きました。

マッチングについては、正直これまでと同じく事務局さんが淡々とこなされるものだと思っておりました。なので、現在のサッポロビールさんはアフターフォローまでしていただき大変ありがたいです。
成約したのは、まさかのラーメンでした。非常に驚きました。これまでどおり、和洋中だけだと思っていたので、ラーメン業界にも訴求ができるとは新たな発見でした。
サッポロビールさんは常に一所懸命ですし、何よりも我々と同じ「メーカー」であることから、モノを売るということに対しての熱意のベクトルが同じ方向だと思っております。
商談会ごとに新規のお客様とのお取引が成立しており、また、ご紹介いただいているお客様は弊社が考えるターゲットと合致していることにも感謝しております。今後もアフターフォロー含め、サッポロビールさんとご一緒できることを願っております。

私は、2006年にサッポロビールに入社した後、業務用営業部門に配属されました。最初は飛び込み営業で門前払いをされることも。その後自分なりに試行錯誤しながら営業スタイルを考案し成績も上げましたが、自分に足りない外食企業の経営知識を身につければ、より付加価値のある提案につながり、この会社で長く働けると考えてフードビジネスサポート部への異動を希望しました。

フードビジネスサポート部は、外食企業のコンサルティング部署です。ミッションは、外食企業のお困りごとをすべて解決すること。店舗の物件探し、業態開発、メニュー開発、労務課題の対応など、あらゆる相談に対応していました。


新たな飲食業態を開発するうえで、その魅力は何といってもおいしい食材です。フードビジネスサポート部のメンバーは、おいしい野菜や魚介類の情報が入ると産地へと足を運び、多くの地方の生産者をめぐることに時間を費やしていました。


九州の拠点に配属されていた時のことです。大分県の農村部を車で走っていて、休憩をしようと停車しました。すると、道端に完熟して美味しそうなキウイフルーツの実がなっている。「こんないいキウイだったら、喜ぶ飲食店がたくさんあるだろうな。農家さんいないかな」と辺りを見渡しました。


しかし、誰もいない。それどころか、ここに来るまで、ずいぶん長い間、農作業をしている人を見かけなかった。かつてはきれいに管理されていた農地が放棄され、今もキウイフルーツが実っている。そう気づきました。


フードビジネスサポート部は外食企業のために生産現場を訪れていましたが、発想を変えて、生産者のために、外食企業や量販店と連携してできることがあるのではないか。そう思ったのが2018年ぐらいのことです。


地方自治体でも、地域の農林水産物の販路を拡充する取り組みをしていることは把握していました。大きな初期費用をかけずに、会社の事業として持続的に生産地を支援するには、自治体連携モデルの確立と考え、ビジネスモデルを描き始めました。


部内のイベントで、そのモデルをプレゼンしたところ、当時の上司に「すごく面白そうだから、実際にやってみたらどうか」と言われ、2019年に公募案件への取り組みをスタート。当初は外食サポートとのかけもちでしたが、2023年にサッポロビールとしては、かなり久しぶりの新規事業として独立した部門となり、2025年には現在の法人・地域創生統括部になりました。

現在は8名のメンバーで日本全国の都道府県や市町村の公募案件に対応しています。みんな全国を飛び回っていますから、全員が顔を揃えるのは年に3回ぐらいですね。

サッポロビールの地域創生事業は今後も拡大していくことでしょう。当社は元々、多くの自治体と連携協定を結んでおり、多くの自治体に寄り添いながら地域課題にアプローチする取り組みをしてきました。そういった関係性があるからこそ、課題の本質を把握して、対策を提案することができます。

それにプロポーザル案件は自治体によって求められる内容も商材も異なります。ある程度のフォーマットはあるものの、最終的には個別の生産者の要望に応えることが必要。そんな個々の生産者に寄り添うことができるのも、当社ならではの社風かもしれません。


今後、地域創生事業として目指すべき世界は、生産現場の皆さんが誇りを持って事業を継続していく世界です。


生産者が安定収入を確保し、故郷を離れた自分の子どもたちに「こんなに誇りを持てる仕事で、しっかりと収益を上げて働ける環境なんて他にはないから帰って来い」と自信を持って言えるようになる。そのサポーターでありたいと思います。


そのためには農林水産物の価値向上が重要です。例えば、有機農法や無農薬の野菜。世界的に見れば、農薬を使った野菜とは比べものにならないほど評価も価格も高いけれど、日本ではさほど売価に反映しきれていない。サッポロビールは、そういった価値の高さを広め、価値の伝え方を生産者に研修することを担えると思います。その価値を確立できれば、海外へも進出できるし、我々も支援することができます。


もう一つは日本の食糧自給率を上げることです。農業や漁業の現場がこれ以上、失われないようにするためには、国内での農作物の自給率を上げなければなりません。


私の考えるひとつの可能性はサッポロビールが1次産業の事業を行うことです。当社は元々、北海道でビールづくりを始め、農業も行っていた会社です。大麦の品種改良をはじめ、農作物の研究ができる人財もいます。そういったリソースを生かせば、地球温暖化で課題を抱える農業の生産現場に何か貢献できる可能性もあると考えています。

これまで生産者の皆様と外食企業様をつなぐ立場で関わらせていただく中で、農業の現場を間近で見てきました。効率性や収益性の向上といった面でも、私たちなりにお役に立てることがあるかもしれませんし、有機野菜や伝統野菜にこだわる生産者の方々の取り組みも、農業の大切な一面だと感じています。

安定した食糧供給と、後世に受け継ぐべき文化としての1次産業。この多様性のある世界を実現するために、生産者と消費者をつなぐ橋渡し役として培ってきた経験を活かして、これからも生産者の皆様と一緒に何かできることを探っていきたいですね。

私は、地域創生というサッポロビールの新規事業が、若手メンバーを中心に社員のスキルアップの場になればと考えています。生産者とバイヤーの両方のニーズを的確に把握し、両者のコミュニケーションの量を増やす。プロジェクトをマネジメントし、財務も見られる目を持つ。研修ではなく、実務を通じて大きく成長し、他の部署へと羽ばたく場にしていきたいですね。

地域創生事業の仕事をするには、特別なスキルは不要です。必須なのは「人想い」であること。誰かを想うモチベーションを持って仕事をすることさえできれば、自然と仕事の質は上がり、向き合っているクライアントはきっと幸せになるはずです。結果として、その地域の課題解決にも貢献できるのです。


サッポロビールには素晴らしいリソースがあります。そのリソースを活用して、自治体に提案したら新たなビジネスになった。それが地域創生事業です。でも、社員自身が社内にあるリソースの価値に気づいていないと思うことがよくあります。


サッポロビールの優れたところ、すごいところは何か。自らに誇りを持って、社員全員で探すことができれば、当社の提供価値は高まるはずです。「サッポロビールはチャレンジングな会社だね」と思われたいし、その魅力を多くの人に知ってほしい。だからこそ、地域創生事業を通じて、想いを持った社員が挑戦できる環境づくりをしていきたいです。

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