担当する商品において、醸造技術者は基本的に1人です。私も入社4年目から1人で担当商品の中味開発を任せてもらえるようになりました。最初は驚きでしたが、やりがいがあります。それに、上司や先輩方が見守ってくれるので、何か私が間違った方向に行こうとすると、きちんとストップをかけてくれます。安心して挑戦できる環境が整っていると思います。
ビールが大好きな私は、飲みやすくするには「苦くなくて、ホップや麦芽の特徴が強すぎないものが良いかな?」と考えていたのですが、学生たちが「飲みやすい!」と言うビールは、意外にも、味に厚みがあって、ホップの香りがしっかりと付いているものでした。私の勝手な思い込みとは違ったことに驚き、面白さも感じました。
WITH BEERホワイトエールの中味開発者として、私にはあるこだわりが生まれました。ビールが苦手なエントリー層向けだからといって、苦味などの特徴を薄めただけでは単なる水っぽいビールになってしまう。エントリー層がターゲットだからこそ、ビールらしいビールをつくりたい。「新しいビールの味をつくるんだ!」という意気込みを持ち、ビールらしいけど飲みやすい絶妙な香味バランスを追求しようと、参加してくれた学生さんたちの意見を道標として開発に臨みました。
開発の困難や社内調整の難しさで、「アルコール度数、5%にしようかな」と心が折れそうになる瞬間もありましたが、WITH BEERのマーケティング担当者と「必ず、実現しましょう!」と一緒に言い続けてきたからこそ、実現することができました。
いくつか試作品が完成して、改めて中央大学の学生さんたちに飲んでもらいました。すると、参加した学生さんたちが、ある試作品を満場一致で「絶対にこれです!」と断言してくれたのです。選んでくれたのは、私が一番攻めた味。まさにガッツポーズでした。おかげで自信を持って「WITH BEERホワイトエール」を発売することができました。
私は友人や同僚と外食をしながらビールを飲むのが大好きですが、意外と普段の日はそれほど飲まないんです。食事に合わせて缶ビールを用意しても、350mlを飲むのが精一杯。でも、WITH BEERは500ml缶でも飲み干せてしまうんです。
気軽に、気負わず飲めるビールとして仕上がったと思いました。これは、ビール好きの自分にも「刺さった!」と思って、限定販売だったので、500ml缶を6ケース買い込みました。
発売後は、SNSで「#WITHBEER」など、関連するキーワードで検索して、毎日お客さまの意見に耳を傾け続けました。WITH BEER関連の投稿で私が読んでいないものはないと思います。ビール好きの方って、しっかりレビューを書いてくれるので参考にもなるし、「もっとこうして欲しかった」というコメントを見れば、「そういった見方もあるのか!」と納得して、楽しくなります。
何より「これなら飲めるかも」と若い方が投稿しているのを見ると本当にうれしくなります。WITH BEERを飲みながら、お客さまの意見と対話する。私にとって、とても大切な時間です。
私は理系なので技術者向けの説明会に参加しました。多くの企業は会社の歴史や事業内容などについて説明します。でも、サッポロビールでは、ビール醸造担当の技術者がひたすらビールづくりの体験や楽しさについて熱く語ってくれたのです。「本当にビールづくりが楽しくて働いているんだなぁ」という強いインパクトがありました。
私は学生時代に仲間とビールを飲む時間がとても好きでした。ビールは嗜好品として、人の暮らしを楽しく彩るもの。ビールという商品に、とても魅力を感じていました。
最終的な決め手は、サッポロビールの社員の人の良さです。面接の時も、人事の方が学生一人ひとりに付いてくれて、面接にリラックスして臨めるよう、順番が来るまでお話をしてくれました。そんな人柄の良さを感じたときに、「この会社で働きたい」と自然に思えたのです。
入社後は焼津市にある研究開発部門で、試験醸造プラントの工程管理部門に配属になりました。ビールの商品開発は、まず商品の「設計」を作ったのち、小型の醸造設備で試験醸造を行います。小型といってもそれなりの大きさの設備で、醸造設備は自動制御、現場には醸造の実務を担うスタッフが何人もいらっしゃいます。私は入社後、まず試験醸造の工程担当になりました。
もちろんビールづくりは素人です。入社前は「ビールの開発は料理のようなイメージかな」と思っていたのですが、実際の味づくりは、学生時代研究していた「酵母」が活躍する科学の世界でした。
一連の研修が終わると上司にお願いして、他のスタッフとともに試験醸造の現場でビールづくりをする期間を2カ月設定してもらったのです。そこで徹底的にビールの醸造技術や設備を制御するプログラムの仕組みを覚えました。
サッポロビールの技術部門の先輩方は、原料やビール造りのプロセス、例えば、麦芽、ホップ、酵母、醸造工程のこまかな調整など、さまざまな専門分野をお持ちです。そして、その分野を探求することが心底大好きな方ばかり。入社して以来、たくさんの知識や技術を先輩方から学びました。
そして、知識以上に学んだのは、「何かを極める志を強く持つ」という人としての姿勢です。サッポロビールは、社歴に関係なく大切な仕事を任せてもらえる会社です。自分から「これに挑戦したいです!」と言えば、受け入れてもらえます。でも、そこには必ず理由が必要です。
先輩方は、新しいことに挑戦するとともに、なぜその挑戦が必要かの意味を熱く語ります。熱い志を抱き、人に伝える言葉を持ちながら挑戦する。その姿勢は、まさに「カイタク者」であり、私自身もそうなりたいと強く思います。
まず、今の品質をきちんと守り続けていこうという観点。全国の工場には、それぞれ1名の香味担当がいて、データを集計しながら工場における改善点を話し合う会議が月に1回行われています。その会議に中味担当として参加しながら、黒ラベルの品質をしっかり守る取り組みに携わります。
もう一つの観点は品質のさらなる向上(クオリティアップ)です。黒ラベルは現在の品質を守り続けながらも、そこにとどまることなく、さらなる品質向上の取り組みを続けています。黒ラベルの技術開発担当として、基礎研究を行う研究部門、全国の工場の黒ラベル担当と連携を取りながら、黒ラベルの品質向上のさまざまな取り組みを進めています。
黒ラベルはとても美味しいビールで私も大好きです。より多くの人々に飲んでもらうために、どのように技術的なアピールができるかも技術者の仕事であると私は思っています。
技術者はついつい専門的な沼にはまってしまって、お客さまが求めていることから離れてしまうこともあります。お客さまが求めることを知り、一番響くことを見つけていきたい。それが個人的なテーマにしていることです。
技術担当の先輩方のキャリアを見ると、本当にさまざまです。ビールでは、工場での生産現場、基礎的な研究開発、マーケティング担当になった先輩もいます。同じ部署に、ドイツに海外留学を経験された先輩もいらっしゃいます。ビール以外でも、清涼飲料水やスープの開発に携わってきた先輩もいらっしゃいます。だから、今の私には明確に「将来こうなる」とは言えません。
(※)2026年7月の事業持株会社への移行に伴い、新しい企業理念体系を策定しました。
サッポロビール経営理念/行動規範
今、私は「お客さまに一番近い中味開発者でありたい」というこだわりを持って、すべての業務に携わっています。だから、開発した商品が発売されれば、SNSで検索をする時間を大切にしています。仕事ばかりしていると、気づくとお客さまとの距離が生まれている、ということになりかねないので、常にお客さまの声に耳を傾けるようにしています。
私は、商品を飲んでくれるお客さまにとっての「いちばん星」になりたい。そう、思います。
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